東京・新宿ピカデリー1階ロビーにて実施中の展示企画「Gのジャケットイラスト展」と「Tの企画書展」の開催延長が決定しました!
「Gのジャケットイラスト展」では、TVシリーズから劇場版までの『Gのレコンギスタ』のBlu-rayジャケットイラストをじっくりと堪能できる巨大展示を実施。
「Tの企画書展」では、富野監督による『Gのレコンギスタ』の構想をまとめた企画骨子やキャラクター表の展示のほか、日替わりで富野監督が過去に手掛けた作品の企画書を展示します。
まだ見てない方も、もう一度見たい方も、この貴重な機会にぜひお見逃しなく!
■「Gのジャケットイラスト展」「Tの企画書展」
【場所】
新宿ピカデリー 1Fエントランス
(東京都新宿区新宿3-15-15)
【開催期間】
開催中~8月25日(木)の新宿ピカデリー営業時間内
【展示内容】
<常設展示>
・『Gのレコンギスタ』Blu-rayジャケットイラストの展示
・『Gのレコンギスタ』企画書、キャラクター表の展示
<企画書展示(展示スケジュール)>
■開催中~8月11日(木・祝)
『OVERMANキングゲイナー』
■8月12日(金)~14日(日)
『無敵超人ザンボット3』、『無敵鋼人ダイターン3』
■8月15日(月)~18日(木)
『伝説巨神イデオン』、『戦闘メカ ザブングル』
■8月19日(金)~21日(日)
『聖戦士ダンバイン』、『重戦機エルガイム』
■8月22日(月)~25日(木)
『OVERMANキングゲイナー』
8月5日(金)より全国ロードショー中の劇場版『Gのレコンギスタ Ⅴ』「死線を越えて」の公開を記念して、公開日の8月5日(金)にスタッフトーク付き上映会第2弾を開催いたしました!
今回は、第3部のスタッフトークイベントにも参加し、人気作を多数手がける撮影監督、脇 顯太朗氏が登壇。進行は第1弾に引き続きプロデューサーの仲 寿和氏が担当し、『G-レコ』制作秘話をスクリーンに投影された数々の資料とともにたっぷりと語っていただきました!
昨日の会場の様子をレポートにてお届けいたします!
※レポート内容には本編『Ⅳ』『V』のネタバレも若干含みますので、お気をつけ下さい。
絶賛公開中の『Gのレコンギスタ V』「死線を越えて」。劇場版『G-レコ』シリーズ最終章である本作の公開を記念し、8月5日(金)、新宿ピカデリーにて「公開記念スタッフトーク 撮影回」が開催された。
登壇したのは撮影監督・脇顯太朗氏。聞き手としてプロデューサー・仲 寿和氏が同席し、『G-レコ』シリーズに導入された撮影技術、ビジュアル表現、総監督・富野由悠季氏とのエピソードを熱く語った。
撮影監督とは、デジタル上で原画や美術を重ね合わせ、照明や効果線などのエフェクトを施し、全体の色調や彩度を調整するなどアニメーションのルックに大きな貢献を果たしている。テレビシリーズから足掛け8年間、富野総監督や演出・作画監督たちの指示を仰ぎながら、脇氏もまた『G-レコ』を支え続けてきたうちの1人だ。
脇氏は「最後の『V』まで観ていただいて本当にありがとうございます。今日いろいろと話せればと思っています!」と挨拶も早々に裏話を開始。
脇氏「劇場のみなさんは、先ほど『V』のラストシーンを見られたかと思います。映像的には、まず宇宙に浮かぶ地球が登場して、その中の砂漠地帯にカメラが寄っていくと、ベルリが乗った二足歩行ロボ”シャンク”が砂漠を歩いているシーンが出てくる、という流れです。あの砂漠、実はモンゴル地域にあるゴビ砂漠なんです。あの砂漠のシーンは、本当はもっと陽炎がゆらめいているような暑い感じにしようという話もあった。でも撮影時期がちょうど6月くらいで、その段階で東京の気温がめちゃくちゃ高かった。ゴビ砂漠でこの暑さを再現したらベルリたちが死んじゃうと思って、ほどほどにしました(笑)」
そこで「そういえばあの地球の映像は……」と仲プロデューサーもトークに参戦。
仲氏「あの素材(元の画)、地球の1枚絵だったんですよね。これだけじゃ足りないって話になって慌てました」。
脇氏「そもそもラストの地球は動かしたいという話だったんですが、いただいた素材が地球の1枚絵だった。これだと動かせませんって話をしたんですが、もうね、無理やりCGで動いているように見せましたよ!(笑)」
脇氏はこの日のためになんと『G-レコ』での仕事をパワーポイントにまとめ、スクリーンに映しながら解説するという「パワポ芸」を披露。
▼スクリーンに「ベェェェェルリィィィィィ!」と激昂するマスクの姿。
脇氏「何を言いたいかと言いますと、僕はめちゃくちゃ怒っているわけです! 怒っているのにはちゃんと理由がある。まずはコイツです」
脇氏「この目ですよ、目!」
劇場版からG-セルフの目(瞳)が描かれるようになったが、目を貼り込む作業は撮影班が担当していた。脇氏は作画監督・桑名郁朗氏がベースデザインを手掛けたという目を、あらゆる方向に貼り込んでいく作業映像を15倍速で再生しながらこう語る。
脇氏「これを見て感じとっていただけると嬉しいのですが、原画1枚1枚に目を当て込んでいるんです。これ、止め画の1枚絵ならまだいいんですけど、両目ありますからね。しかも動くんです(笑)。G-セルフは目線で演技もしているので、作画監督さんからの指示に合わせて1枚1枚、調整しながら目線の方向を変えています。目をひとつ貼るのに大体40分から60分かかります」
実はこの瞳、劇場版の制作初期段階では、1本あたり3カット?5カット。多くても10カットくらいの予定だったという。ところがーー。
脇氏「今回、目をいくつ貼ったんだろう? と思って計算をしてみました。『Ⅰ』が42セルフ(語尾の「セルフ」は脇氏独自の表現。本来は「1体」)。『Ⅱ』が56セルフ。『Ⅲ』が62セルフ。『Ⅳ』が75セルフ。そして『V』が45セルフです。ところがですね、この他にも版権物の処理なども担当していまして、これが大体35セルフもあった。つまり、合計約315セルフ! あれ? はじめの10カットって話は何だったの? だから私は怒り心頭なんですよ!(笑)」
これには場内も大爆笑。横にいる仲プロデューサーも恐縮の表情で頭を下げるという一幕も。するとスクリーンには富野総監督の姿が映る。
脇氏「それでもね、最終的に富野さんが喜んでくれればOKなんです! 実際、G-セルフに瞳が張り込まれたおかげで表情が出ましたし、それは富野さんの意向でもあったわけですから。それに『Ⅲ』以降はもうひとりの撮影監督・田中直子が作業をやってくれています。『こうやって貼れるよ』って教えたら、嬉々として貼ってくれるようになりまして。すべて脇がやったと思われたら田中に怒られそうなので一応言及しておきます(笑)」
続いては、『Ⅳ』のエンディングテーマ「カラーリング バイ G-レコ」が流れるシーンに映り込むビクローバー(キャピタル・タワー基部の地上施設)のカットについて。テレビシリーズ版でも似たような絵面が登場していたが。
脇氏「富野さんが、『第4部のエンディングにテレビ版のビクローバーの画を使いたいんだけど、目新しい感じにしたい』と言ったんですね。だったらカメラワークを左右に振ったりしないと新鮮味が出ないのでは? と提案したら、『ビクローバーをズームしているところから引く(全体を見せる)ようにしよう』となった。そこで試しに当てずっぽうに画像をズームして動かしていたら、突然、富野さんが『待て!』と叫んだ。何か、しでかしてしまったんじゃないか? と、場が凍り付きましたよ。そしたら監督が『今のこの画を最初のフレームで行く』と。そこでスタッフたちは慌てましたよ。動かすな! 誰も触るな! フレームがズレる!って(笑)」
富野総監督はその動体視力を以て、一瞬の画をチョイスしていた。さらに。
脇氏「富野さんがビクローバーに『もっと寄れ、もっと寄れ』(ズームしろ、の意味)って言うんです。これ以上やったら画像の解像度が低くなるので無理だってところまで。仕方がないのでやりましたよ。そしたら『ほら、言ったとおりに出来るじゃないの』とニコニコしてらっしゃって。いや、それ、細部を見ても遜色がないように私が“処理”(画像の追加)をしていますから、っていう(笑)。でもね、富野さんが笑顔であればそれでいいんです!」
そして、いよいよ話題は事前にSNSでも予告していた『Ⅳ』のクライマックスシーンについて、効果線や発光処理のトークに。テレビシリーズ時代からアニメーションの「線」についてアナログな質感を追求していたが、劇場版ではその表現がさらに進化。カシーバ・ミコシ戦におけるベルリVSマスク、G-セルフVSマックナイフの激闘シーンはアナログを思わせる筆圧、効果線、影の表現(処理)がより顕著になっている。
脇氏「戦闘シーンに迫力を出そうと思って線を足しました。富野監督作品で言うと『無敵超人ザンボット3』(1977年)で伝説のアニメーター・金田伊功さんが描いたカットなど、緊迫したシーンでキャラクターの気持ちが出ているときは、激しく効果線や影が描かれている。同じことを『G-レコ』でやってもいいんじゃないかと思ったんです」
脇氏「ビームやバーニアの発光にもこだわっています。最近のアニメではビームやバーニアの発光を表現するときに、文字通り光らせてしまう。でもセル時代のアニメを見てると光っているというよりも、『光っていることを絵として表現するにはどうしたらいいか?』という試行錯誤が見える。その手触りを再現してみたかった。参考にしたのは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)です。同作のエフェクトは品があってやりすぎていない。しかも緊迫した戦闘シーンのドラマとして成立していますからね。その後の『機動戦士ガンダム F91』(1991年)なんかは、『逆襲のシャア』でスタッフさんががんばり過ぎて、さらにオーバースペックな動きや処理をしています。ビームがあったとしたら、その周囲に散らばるビーム粒子だけが発光していたりする(笑)。この辺りも参考として拾いました」
こうした脇氏の過剰なまでのプランの裏には、こんな想いがあったという。
脇氏「『G-レコ』は8年も続いている作品じゃないですか。そうすると良い意味でも悪い意味でも『慣れ』が出てくる。スタッフ全員がオーダーに答えられる能力があるがゆえ、仕事がルーティンになっていく部分があった。現場的には仕事が進めやすいんですが、富野さんと仕事をすることに慣れてしまうのはマズイんじゃないか? と思いました。だって相手はあの富野さんですよ? “俺たちの『レコンギスタ』はそんなもんだったのか?”と」
脇氏「そんな気持ちにトドメを刺されたのが、『Ⅳ』の絵コンテが出来上がったときのことです。『Ⅳ』の戦闘シーンってすごいじゃないですか。2Dであんな計算されたコンテを切れるのは今の日本には富野さん以外いません。なのに、その富野さんが打ち合せでチラっとこう言うんです。『まあ、何のことはない、つまんないコンテですよ』と。その言葉を聞いた瞬間に怒りと同時に悲しくなっちゃって。きっと富野さんのことだから言葉通りの意味ではないと思いますけど、僕にはその言葉が『コンテ通りにやれば富野作品っぽくなりますから』みたいなニュアンスに聞こえたんです。その時、僕は思いました。『そんなことを言うんなら、(監督が)本当に想定してる以上の画面を出してやる。だから富野さん、ヤル気出してよ!』って」
そんな脇氏の熱弁に一瞬、場内が静まり返る。しかし次の瞬間、客席から次々と拍手が湧き起こる。それはしばらく鳴り止まなかった。
脇氏「そういう経緯があったんです。お陰様で時間と命を削りましたが(笑)。TVシリーズスタートの8年前、僕は24歳でした。当時、キャラクターデザインの吉田健一さんと『デジタルだとキャラクターの線に抑揚がない。アナログ時代のような人間味のある線を描きたいよね』と話していたんですが、当時の技術で全然実現できなかった。でも今の俺なら出来る! やるんだったら今、俺がやるしかない!って。つまりは富野さんが喜んでくれればいいんです! それで本当に長生きしていただいて、たくさん作品を作っていただければと思っています。やっぱり富野さんはスゴすぎるから、スタッフ全員が富野さんのコンテ、演出に乗っかっちゃうんですよね。そこにあぐらをかいて、がんばらなくてもいいと思ってしまうのは『違う!』と。富野演出にしっかり向き合って、想像を働かせて、俺たちは新しいレコンギスタをしなければならない! そう思っています。以上です!」
こうして日本一熱いスタッフトークは幕を閉じた。豪華景品の抽選会も含め、総時間はたったの31分。その情報の凝縮ぶりは、もうひとつの『G-レコ』本編を見るかのようだった。
【イベント名】劇場版『Gのレコンギスタ Ⅴ』「死線を越えて」スタッフトーク付き上映会 撮影回
劇場版『Gのレコンギスタ』の公開を記念して、TVシリーズ、そして劇場版第1部のエンディングテーマでもある「Gの閃光」のミュージックビデオが公開されました!
作詞は井荻麟こと富野由悠季総監督、そして作曲は本作の音楽も担当する菅野祐悟、歌唱はハセガワダイスケさんです!
作品の名場面をふんだんに盛り込み、英訳付きの日本語オリジナル歌詞テロップで、歌詞を堪能できるミュージックビデオとなっています。
なお、「Gの閃光」は各音楽サービスにて配信中!
こちらもあわせてチェックしてみてください!
配信URL:https://lnk.to/Flash_of_G
昨日8月3日(水)にスタッフトーク付き上映会第1弾を開催いたしました!
第1弾には、TVシリーズよりディスプレイデザインを担当する青木隆氏が参加。進行はプロデューサーの仲寿和氏が担当し、ディスプレイデザインの作業内容や青木氏から見た『G-レコ』の注目ポイントをたっぷりと語っていただきました!
昨日の会場の様子をレポートにてお届けいたします!
▲左から仲寿和(プロデューサー)、青木 隆(ディスプレイデザイン)
絶賛公開中の劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」。恒例となっている作品関係者が舞台裏を語るスタッフトークイベントが8月3日に新宿ピカデリーにて開催された。今回は、本作のディスプレイデザインを担当する、青木隆さんが登壇。急遽登壇が決まった青木さんは、「ひと晩でテレビシリーズを含めた10年近く前のデータを探して持ってきました」と挨拶をし、早速スタッフトークがスタート。
最初にスクリーンに映し出されたのは、ここまでの形で紹介されるのは初めてだという劇中のディスプレイに表示される文字フォント。テクノロジーが大きく進化した『G-レコ』の世界観を象徴するモニターに表示されるアルファベットや記号などの文字は、劇中で使用するためにすべて新たにデザインされたとのこと。青木さんから「アルファベット読みしやすいものと、それっぽく見えるデザインのものを2種類用意して、本編内のモニターで使っていました。あんまりモニターで読ませる演出をするのが少ないということだったので、それっぽく見せるためにこういうデザインにしました」とデザインの意図の説明がなされた。劇中では、ディスプレイはしっかり見せないものの、よく見るとモビルスーツ名や戦艦名が確認できるそうだ。
「このフォント名を“ニュータイプ”と命名して、フォントデータとして使っていました。フォントを切り替えるとちゃんと使えるようになっています」と青木さんが言い、仲さんが「これ、聞いたら欲しがる人がいるんじゃないかと思いますけど」と感想を述べると、「欲しい!」とばかりに会場から大きな拍手が。それを聞いた仲さんは「では、要検討ということで」と、フォントの配布に対して前向きな考えであることを示した。
続いて画面に映し出されたのは、キャピタル・タワーに配置され、人々や物資を載せて往復する乗り物「クラウン」の運転席のディスプレイとタッチパネルのデザイン。仲さんが「世界観的にはすごく大事なものだったんですが、ブリッジは序盤の話数しか出て来なかったですね」と語ると、青木さんは「ずっとこれに乗って旅をすると思っていたので、わりと重要度が高いと思ってデザインしたんですが、わりとすぐに出番が無くなってしまって」と当時を振り返る。
デザインのラフからブラッシュアップ、彩色版、そして美術ボードに張り込んだイメージなど、ディスプレイデザインの流れがスクリーンに映しだされ、どのように劇中で採用されていったのかが理解できるように説明がなされた。彩色もいくつかのパターンを提示するなど、画面の主役にならないながらも、ディスプレイデザインも徹底したこだわりで作られているのがわかる。
その流れで、仲さんから「青木さんは、他のお仕事はどのようなものを手掛けられていますか?」という質問が。「ガンダム関係は、『機動戦士ガンダムUC』、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』、最近では『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』もやっています。他社さんだと『銀河英雄伝説』はメインでやらせていただきつつ、『宇宙戦艦ヤマト2199』や『蒼穹のファフナー』、などをやっています。元々撮影出身なので、日本で作った短編集的な作品であるDisny+の『スター・ウォーズ:ビジョンズ』では撮影監督などをやらせていただいています」と、その手腕を買われて、多くの作品に関わられていることが語られた。
話は戻って再びディスプレイのデザインについて。タッチパネルなどは、美術に貼り付けられると折れ曲がってしまうことも想定した形でデザインされていること、寄りにならないが、オペレーションシステムの名称やキーボードにフォントが書かれているなど、細部の作り込みも解説してくれた。
青木さんによると「『G-レコ』は、四角いディスプレイがほとんどなくて、特殊に張り込むものが多かったです」と、形状のデザイン面での苦労もあったそうだ。
その他にも、壁に貼られていたザンクト・ポルトの路線図なども担当。「路線図は、最初はシンプルめに一直線だろうと思って作ったら、144個のナットがあるんだと言われて、路線を増やしました。路線図には序盤に登場するナットの名前とかも入っています」と、富野監督による設定の細かさが伝わる話も披露してくれた。
続いて紹介されたのは、主人公機であるG-セルフのコックピット内のコンソールパネルのデザイン。「いろんなガンダムの中でも、一番特殊な形をしていると思います」と青木さんはコンソールパネルの特殊な形状を解説。こちらもラフイメージから完成版のデザインに至るまでの経過を見せてくれた。青木さんは「最近だと『閃光のハサウェイ』などはコックピット内も3Dで作って、コンパネもCGでやっているんですが、それに3Dを貼り込むとやり易いんですよね。でも、『G-レコ』は全部作画なので。G-セルフは作画さんのカットによって形がすごく変わってしまう。僕はこの素材を出せば作業としては終わりなんですが、撮影スタッフの方々は形状を合わせるのに相当苦労されたと思います」と『G-レコ』だからこそのコックピットまわりの表現にまつわる苦労に関しても解説。「余白の素材を出すことで、多少はみ出したりしても形が崩れないように見えるデザインにしたつもりです」とデザインの際の気遣いを語ると、仲さんから「サラっと言っていますけど、すごく大変なオーダーでしたよね」との言葉が。それに対して、青木さんも「凄く大変でした」とデザイン作業に苦労があったことを語った。
一方で、細部まで細かく作っていながらも、作劇の関係で「あまりタッチパネルを押しているところとか出て来なかったですね」と活躍の少なさを嘆くひと幕も。
ちなみに、青木さんの説明によると、テレビシリーズの時のディスプレイなどを使用したのは、全26話で約360カット。青木さんが関わったロボット系のアニメーションに比べると数字的には少ないそうだ。「富野監督の演出方法で、話す時はモニター映像を使わないでカットインで話して、戦況説明はセリフでしてしまうので。他の作品だと状況説明はモニターを使ったり、通信カットを使うので、平均すると少ないんですが、タイトな中でやっていたので大変でしたね」と当時の作業を振り返った。
続いて、作業用モビルスーツのレクテンのモニター紹介。「序盤に登場するメカだったので、結構作り込んでいて、気に入っているんですが、あんまり見せる機会が無かったです」とちょっと残念そうに語った。仲さんは「レクテンは、外観のデザインやコックピット内部も含めて、スタッフも気に入っている人が多かったです」とスタッフ人気があった機体だったと振り返る。
続いて、キャピタル・アーミィやアメリアなどの各陣営のコンパネまわりのデザインを紹介。「モビルスーツは入れ替わってどんどん出てくるので、外観的には敵か味方か判りづらいところがあるので、コックピットの内装と表示で陣営の差別化をしようとしています。でも、クリムもマスクもあんまりコンソールを操作したりしないで、フィーリングで操縦して、セリフを叫んでいる感じなので、一応作ってあったよ、という感じです」と陣営ごとの違いなどのこだわりを披露してくれた。
ここにきて残り時間が少ないことがわかり、大量に用意した資料を駆け足で紹介。ロックオンの表示が陣営ごとに違いがあること、大型の艦船などのモニターデザインが各艦ごとに違うなど一気に見つつ、主人公であるベルリたちの母艦、メガファウナのモニター類をチェック。ここでも、設定画に描かれている多数のモニター類を埋めるというオーダーからラフ画、完成版などが紹介された。「通信用や艦長用のタッチパネル、機関制御や速度制御、モビルスーツの発着艦などのシーンに対応できるように作っています」とここでも細部へのこだわりを教えてくれた。
そして、劇場版第4部用に新たに作られたビーナス・グロゥブの管制センターがスクリーンに登場。仲さんから「『G-レコ』では珍しく、3Dでガイドが作られたところです」と劇場版での新たな試みであることが語られ、青木さんも「CGじゃないと貼り込みが大変過ぎるので助かったんですが、これのモデリングをポンと渡されて、“中身全部作って”って言われて大変でした(笑)」と作業の大変さを振り返る。密度の高い作り込みがされていながらも、「ここのシーンは本当はもっとカットが沢山あったんですが、欠番が滅茶苦茶出ました」と仲さんが語ると「本当は、第4部に出て来た倍くらいのカットがコンテ段階ではあったんですが、半分くらいに削られてしまいました」と編集によって、作り込みを見せられなかった状況なども語られた。
最後にはちょっとした裏話として、テレビシリーズの第4話でG-セルフのモニターに武装管制表示が現れるのだが、その中に「ガンダムハンマー」が描かれていることが明かされた。劇中ではわりと速いスピードでディスプレイがスクロールしていくので、ほとんどの人が気付いていないディスプレイデザインとしてのお遊びがなされていたのだ。「メインはコア・ファイターの位置を調べるためのものだったんですが、演出の吉沢俊一さんのメモで“ハンマー”って書いてあって。序盤の話でハンマーは使わないけど、入れていいのかと確認したら“入れちゃおう”と。既成事実として入れちゃったら後半で富野さんが拾ってくれるかもしれないと、打ち合わせの場では言っていたんです。小さいメモで渡されたお遊び程度のものですが、画面にはしっかりとモデリングをしてハンマーを入れていたんです。ただ残念ながら、テレビシリーズの本編では拾われず仕舞いでした」と、まさに隠し要素的な存在であったことを告白。仲さんも「本編で拾われなかったので、いつかゲームとかで出たりするかもしれないですね」と語った。
トークの後は来場者へプレゼント抽選会を挟んで、青木さんが締めの挨拶。
「今日、急遽代役という形での登壇でしたが、大丈夫でしたか? 楽しめたでしょうか? なかなかこうしたディスプレイデザインの話を聞いてもらえる機会がないので、ぜひまたやりたいですね。『G-レコ』をやり始めたのが2013年くらいからなので、結構長い旅になりました。僕もガンダムが超好きで、ガンダム作品をやりたいなと思っていまして。ましてや、今回声をかけていただいて、それも富野さんの作品だということで、参加できてとても光栄でした。こんな機会は滅多に無いと思うので、お仕事を受けた時は超忙しい時期ではあったんですが、もうふたつ返事で受けた仕事でした。作品に関わることができて、とても誇りに思っています。アニメの仕事は続けたいし、続けると思うんですが、『G-レコ』は何年かして見返した際にも“ずっと続けていいよ”と言い続けてくれるような作品に、自分の中でなったと思っています。ありがとうございました」
青木さんの作品への思いが詰まった挨拶によって、ディスプレイデザインの裏側がわかる貴重なトークイベントは幕を閉じた。
なお、最終章となる、劇場版『Gのレコンギスタ Ⅴ』「死線を越えて」は、ついに明日8/5(金)公開です!お楽しみに!
【イベント名】
劇場版『Gのレコンギスタ IV』「激闘に叫ぶ愛」スタッフトーク付上映会
【開催日】2022年8月3日(水) 20:40~21:10
【場所】新宿ピカデリー シアター3
【登壇者】青木 隆(ディスプレイデザイン)、仲寿和(プロデューサー)
劇場版『Gのレコンギスタ』第4部「激闘に叫ぶ愛」と第5部「死線を越えて」の劇場物販で販売されるグッズ情報!
第4部、第5部のパンフレットに加え、新規の「アクリルスタンド」や「ガラスマグカップ(G-セルフ 宇宙用バックパック)」など、第4部からの新商品もラインナップ。
ファン必携のアイテムがそろっています!
そして、第4部に引き続き、劇場版『Gのレコンギスタ』新規録りおろし楽曲が収録されたサウンドトラックが、劇場限定で販売中!
音楽を担当する菅野祐悟さんが劇場版で新たに手がけた壮大な楽曲の数々とともに、ハセガワダイスケさんが歌唱する第4部エンディングテーマ「カラーリング バイ G-レコ」も収録します。ぜひお聴き逃しなく!
・劇場版『Gのレコンギスタ』オリジナルサウンドトラック
・富野由悠季の暗号 ~The secret lesson of TOMINO directing in G~
上記2アイテムの在庫状況はコチラをご参照ください。
■劇場版『Gのレコンギスタ』オリジナルサウンドトラック(音楽:菅野祐悟)
発売日:2022年7月22日(金)
価格:2,500円(税込)
品番:LACZ-10113
レーベル:SUNRISE Music Label
※劇場限定商品
【商品紹介】
◆音楽を手掛けるのは、ドラマ・映画音楽・アニメで大活躍中の菅野祐悟
◆劇場版のために新規制作した劇伴をあますことなく収録!
◆各曲タイトルは、富野由悠季総監督が担当!作品の世界観を反映させた曲名にも大注目!
◆劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』エンディングテーマである「カラーリング バイ G-レコ」を収録。進化に進化を重ね、前向きに元気になれる本楽曲は、TV版『Gのレコンギスタ』エンディングテーマ「Gの閃光」に続き、作詞:井荻 麟×作曲:菅野祐悟×歌:ハセガワダイスケという最強メンバーが再び勢ぞろい!
◆TV版エンディングテーマ曲でもある「Gの閃光」のオーケストラアレンジバージョン(「Gの閃光の地平線」)も豪華収録!
【収録曲(全10曲)】
1.レコンギスタ
2.青いヒヤシンスの花言葉
3.登りつめていったら
4.永久の刻を拓く
5.オーシャン・リング
6.金髪のラ・グー
7.カラーリング バイ G-レコ(作詞:井荻 麟/作曲:菅野祐悟/歌:ハセガワダイスケ)
8.G-セルフの増長
9.視線をあげて
10.Gの閃光の地平線
さらに、第5部公開日の8月5日(金)より、劇場版『Gのレコンギスタ』完結を記念して、富野作品を支えてきた豪華制作スタッフ陣の証言から富野由悠季監督の「演出」の秘密に迫るドキュメンタリーBlu-ray、「富野由悠季の暗号 ~The secret lesson of TOMINO directing in G~」の発売!
こちらは第5部公開劇場のみで、5,000枚限定発売となりますので、お見逃しなく!
■富野由悠季の暗号 ~The secret lesson of TOMINO directing in G~
出演:出渕 裕/大河内一楼/藤野貞義/森 邦宏/安田 朗/安彦良和/吉沢俊一/吉田健一
特別出演:荒木哲郎/市川紗椰/富野由悠季
ナレーション:福山 潤
【発売日】
発売日:2022年8月5日(金)
価格:7,700円(税込)
劇場版『Gのレコンギスタ V』「死線を越えて」公開劇場にて、5,000枚限定販売!
※公開劇場は、「Theater」をご確認ください。
【スペック】
カラー/ 248分[本編DISC:126分(本編87分+映像特典39分)+特典DISC:122分]
本編DISC+特典DISC:リニアPCM(ステレオ・一部モノラル)/AVC/BD50G/16:9<1080i High Definition>
【特典】
―映像特典―
・「富野由悠季の暗号」インタビューアウトテイク集
―特典DISC ―
・ゲーム嫌いの富野由悠季が気鋭のゲームクリエイター ヨコオ タロウと60分間対談してみた
※2022年2月発売「富野由悠季の世界」Blu-ray用に撮影された対談映像を長尺版として収録
・「富野由悠季の暗号」安彦良和×吉田健一 対談アウトテイク
【7/21追記】
<「富野由悠季の暗号 ~The secret lesson of TOMINO directing in G~」Blu-ray、劇場版『Gのレコンギスタ』オリジナルサウンドトラック購入に際しての注意事項>
※劇場にて販売されるBlu-ray、オリジナルサウンドトラックの購入には、購入劇場にて発券する座席指定券、もしくは入場後の半券が必要となります。
※座席指定券1枚の提示につき、「1会計各2枚まで」の購入制限を設けさせて頂きます。なお座席指定券の提示は1会計につき1枚までとなります。
※座席指定券については『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」、『Gのレコンギスタ Ⅴ』「死線を越えて」どちらのものでも購入可能となります。
※劇場にて販売されるBlu-ray、オリジナルサウンドトラックの在庫状況については、各劇場まで直接お問い合わせください。
※本商品は、公開劇場のみでの販売となります。
※本作品を公開劇場にてご鑑賞される方が販売対象となります。
※数量に限りがございますので、上映期間中に品切れとなる場合がございます。あらかじめご了承下さい。