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2021/08/26
劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』スタッフトーク「メカ編」レポートが到着!

▲左上から形部、安田、下が仲

絶賛公開中の劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」では、昨日8月25日(水)にスタッフトーク「メカ編」が開催されました!

スタッフトーク「メカ編」では、本作の主人公機である「G -セルフ」のデザインを担当した安田朗さん、「G-アルケイン」をはじめとした数多くのモビルスーツのデザインを担当した形部一平さんがリモートにて参加。進行は、仲寿和プロデューサーが担当。メカデザインの立場から見た本作の見所をじっくりと語っていただきました!

 

安田氏と形部氏は仕事場からリモートでの参加ということで、壇上には仲プロデューサー1人が立ち、劇場のスクリーンに二人の顔が見えるような形で、スタッフトークがスタート。
まずは、お二人に『G-レコ Ⅲ』を観た率直な感想を語ってもらった。
安田氏は「僕は『G-レコ Ⅲ』は劇場に2回観に行きました。アイーダさんとベルリの関係、じつは2人は姉弟だったということが判るシーンで、TVシリーズではベルリがそのあと自棄になって戦いに行ったのが、劇場版では股間を押さえながら叫びますよね。あの新作カットは良かったですね。そのシーンがあったおかげで、『G-レコ Ⅲ』は完全に成功すると思ったので、僕にとっては最高の見せ場でした。その一方で、G-セルフが何だかカッコイイシーンが多かったです。特に最後の方、クレッセント・シップに乗るまでのアクションが矢継ぎ早で、滅茶苦茶充実していて、そこもすごく良かったです」と振り返った。

形部氏は「今回はノレドが可愛いなと思いましたね。『G-レコ』のキャラクターはみんなエキセントリックな感じで、それがリギルド・センチュリーの雰囲気を醸し出していると思うんですが、その中でもノレドはひとりだけ、自分たちに近い感覚の古風な女の子という感じがしていて。彼女が画面に出てくると安心感みたいなものを感じました。また、アイーダさんが心情を吐露する場面も増えてきて、独りよがり感が減ってきている感じも嬉しかったです。メカに関しては、やはりガイトラッシュの活躍が派手でしたね。ガイトラッシュは第4部にまで持ち越しになっているので、あのラストシーンの活躍を第4部の冒頭にも入れてもらえると嬉しいですね。あと、山根(公利)さんがデザインされたポリジットが緑色に塗られて、クレッセント・シップの護衛のように登場したのが、メカ的には地味に一番驚きました」と語り、お二人とも、キャラクターとメカの印象深いシーンを披露してくれた。

続いて、話題はG-セルフの作画について。劇場版からG-セルフの目が多重構造であることが表現され、瞳のように見えるようになったことに対しての感想が安田氏に求められた。
安田氏は「瞳の構造に関しては設定画の段階では“ちょっとだけ見えるかも”という程度で描いていたんですが、劇場版ではそれを入れるということになりました。そこで設定を改めて描いています。実際に瞳を入れてみると、それだけで見応えが2倍になったように感じて、“さすが、富野監督!”と思いましたね」と語る。
仲プロデューサーも「目が入っているのに見慣れてしまうと、TVシリーズの頃の方に違和感を感じてしまいますね」と見映えが良くなったという印象を語っている。
形部氏も「安田さんの瞳が多層構造になっている指示があったじゃないですか。それが撮影で見事に再現されていて、アップになった時もかなりいいですよね」とその映像表現を絶賛。
安田氏も「G-セルフは目が大きいことが特徴だと自分でも思っていながらも、監督に瞳を入れて欲しいとは言わなかったんです。それでもきちんと“瞳”に着目して、僕が出来なかったことをきちんとやってくれた富野監督は、やはり凄いなと思いましたね」と富野監督の細かいこだわりに感謝の気持ちを語った。

続いての質問は、「劇場版があるんだったら、もうちょっとデザインを描き足したかったという思いはありましたか?」というもの。
安田氏は「もう、たくさんありました。G-セルフの高速パックとマリンパックは入れたいと思っていたんですが、TVシリーズの時にこちらが数多く提案したことで、怒られたことがあったんです。それで、富野監督の演出の疾走感の邪魔をしたのではないかと……。そういう意味では、劇場版は今ある材料でどこまで富野監督の演出が走るのかというのを観たかったというのはあります。だから、あえて何も足さない方が良かったんじゃないかと思いましたね」とTVシリーズでの反省をもとに、あえてデザインを足さなくてもいいと判断したとのこと。
形部氏は「僕は勝手にデザインを出しすぎた立場なので、既にメカの数が過多になっている部分もあると思うんです。だだ、ひとつだけ思うのは、カバカーリーのラストバトルの時に、G-セルフのパーフェクトパックと張り合えるように、カバカーリーのバックパックも変えても良かったかなと思っています。そのシーンは、劇場版ではかなり先になりますけどね」とTVシリーズの後半のデザインについて、「当時こうできていればと良かった」という希望を語ってくれた。
続いて、安田氏は、G-セルフのバックパックのデザインが増えた理由については、このように語っている。「富野監督と話している時、“俺のシナリオは、どんなメカを出しても、そのシーンをちゃんと入れられるようになっているんだ”とすごく自慢されたので、“だったら、いくらでも増やそう”と沢山提案を出したんです。そうしたら、怒られたんですよね(笑)。それは、僕がデザインを上げるのが遅かったというのもあるんですが……。」と、富野監督との当時のやり取りについても語ってくれた。
その後、話題は入場者プレゼントとして配布された、形部氏によるグリモアとカットシーが描かれたクリアファイルの画稿について。このイラストはもともと、形部氏からTVシリーズの際に「アイキャッチ用に使ってみてはどうか?」と提案されたものを使用している。
「TVシリーズの時のメカ打ち合わせの後に、宿題が出ることがよくありまして。例えば、“ハロビーに関して、何かアイデアは無いか?”とか、“タイトルロゴを描かないか?”とか、その都度乗っかって描きまして。アイキャッチ用のイラストもその時に出たものですね。タイトルロゴはみんなが見た瞬間“これ、『エヴァンゲリオン』にそっくりじゃない?”と言われて、すぐに却下されたのは覚えています」と形部氏は当時を振り返える。
ちなみに、クリアファイルには当時形部氏が描いたロゴもそのまま使用されているので、手にされた方は、ぜひ確認して欲しい。

続いては、まだ発売日が決定していない『G-レコ Ⅲ』のBlu-rayとDVDのパッケージについて。すでに、パッケージイラストに関しては、形部氏に発注がされているということから、仲プロデューサーは、形部氏に「久々にパッケージ用に『G-レコ』のメカを描いてみた」ことについての感想を尋ねた。
形部氏は「第3部は、宇宙用のジャハナムを描いています。でも、『G-レコ Ⅲ』で言えば、ガイトラッシュとかがパッケージになるのかなと思っていたんですが、“強めのパイロットくくり”みたいになっているのかなと思って描かせていただきました。また、店舗特典用に小さい色紙みたいなものも描かせていただいたんですが、そちらではモンテーロを描きまして、クリム縛りで描いたという感じです。宇宙用ジャハナムは、今見ると肩の関節は“こうしたかったな”というのは、やっぱり時間が経つと思ったりしますね」との感想を答えた。
その後、安田氏から自身がデザインを担当したモビルスーツのレクテン、そしてG-セルフのコックピットについての思い出が語られた。「レクテンは、身長の設定が17メートルに設定されているんですが、本当は15メートルにしたかったですね。富野監督からは“復座にして欲しい”と言われたので、2人乗りだからと大きくしたんですが、そういう場面は全然出て来ないです(笑)。G-セルフは1人乗りなのに4人も乗ったりしていますが(笑)」と、富野監督のメカデザインの発注時と映像演出時の使われ方の違いについて触れると仲プロデューサーも「コックピットに複数人数を乗せる演出を富野監督はよくやるけれど、なぜか複数乗りの機体ではそれをやらないですね」と富野監督のちょっと気になる演出の好みを披露。

さらに安田氏は、「G-セルフのコックピットは僕的にカッコ良く描いたんですが、富野監督から“こんなコックピットに乗るのは地獄だ”と言われて。最終的にいろんな部分を取り払ったんですが、映像を観たら“たくさん人を入れたかったんだな”って思いましたね(笑)。富野監督からの説明を聞くと“宇宙空間では下手をすると何日も漂流することになるかもしれないから、その中で人間が生きていくためにはある程度の広さが必要なんだ“とも言っていましたね」と富野監督とのやり取りの思い出を語った。

そうした話をしているところで、スタッフトークも終了の時間に。「これだけは言っておきたいということはありますか?」という問いに対して、安田氏は「富野アニメのメカアクションは本当にカッコイイですね。大きな流れの中に小さな流れがある構成が本当に素晴らしいです」とコメント。

そして、最後には3人からメッセージで、スタッフトークは、締めくくられた。
「『G-レコ Ⅲ』の上映もおよそ今週いっぱいというとこで、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。この後、第4部、第5部と続いて行きますので、その時はまた劇場の方に来ていただければと思います。今回はありがとうございました」(仲プロデューサー)
「このご時世の中、劇場まで足を運んでいただいたことは、すごくありがたいです。まだ、第4部と第5部が残っていて、しかも第4部はかなり変わっているともお聞きし、ジット団も登場して大きな流れになるようですので、僕も皆さんと一緒に『G-レコ』の劇場版を楽しみたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします」(形部)
「本日は『G-レコ Ⅲ』を観ていただき、ありがとうございました。第4部に関しては、全然知らないんですが、新作パートがすごく多いという噂を聞いています。TVシリーズの分量ならば、第4部で最終回に行きそうな雰囲気ですが、それが実際にはどうなるのか? すごく興味があるので、みなさんと一緒に公開を楽しみにしています。本日はありがとうございました」(安田)


劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」スタッフトークメカ編
開催日:2021年8月25日(水)
場所:新宿ピカデリー シアター③
登壇者:安田朗(メカデザイン)、形部一平(メカデザイン) ※左記の2名はリモート参加
仲寿和(プロデューサー)

2021/08/20
劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」スタッフトーク「メカ編」8/25(水)実施決定!メカデザインの安田朗と形部一平がリモートで登壇!

絶賛公開中の劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」では、来週8月25日(水)にスタッフトーク第3弾の開催が決定しました!

第3弾では「メカ編」として、メカデザインを担当している安田 朗さんと形部一平さんの2名がリモートで登壇。劇場にいる仲 寿和プロデューサーと3名でスタッフトークをお届けします!
ここでしか聞けない富野由悠季総監督との作品作りなど秘話を披露!
そして今回も入場者全員に応援団ステッカーをプレゼント!豪華景品が当たる抽選会も実施予定です!(景品は後日発表します)
チケットは、8月22日(日)17:00より発売開始ですので、ぜひお越しください!

 

■劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」スタッフトーク メカ編
【実施日時】
2021年8月25日(水)/18:30の回上映終了後

【場所】
新宿ピカデリー
(東京都新宿区新宿3丁目15番15号)

【登壇者】
・安田 朗(メカデザイン)
・形部一平(メカデザイン)
※上記2名はリモート参加
・仲寿和(プロデューサー)

※登壇者は予告なく変更する場合がございますこと、予めご了承ください。

【チケット価格】
通常料金
※ムビチケ利用可。招待券等無料券利用不可。

【座席指定チケット販売方法&発売日】
販売方法:劇場HPにてインターネット先行販売
https://www.smt-cinema.com/site/shinjuku/index.html

・インターネット先行販売
2021年8月22日(日)17:00~(SMT Members会員様・非会員様ともに)
・劇場窓口販売
2021年8月23日(月)劇場OPENより販売 ※残席がある場合のみ

2021/08/20
「AL☆VEシアター」&「イオンシネマ綾川」にて、劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」が上映決定!

秋田県の「AL☆VEシアター」と、香川県の「イオンシネマ綾川」にて、劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」の上映が決定いたしました!

イオンシネマ綾川では9月10日(金)より、AL☆VEシアターでは9月17日(金)より順次上映開始となりますので、ぜひお近くにお住まいの方はこの機会をお見逃しなく!
※入場者プレゼントの配布については、後日お知らせいたします。

その他の上映については「Theaterページ」をご覧ください。

2021/08/20
劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』スタッフトーク「音楽編」レポートが到着!

▲左から仲、菅野、ハセガワ

絶賛公開中の劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」では、8月18日(木)にスタッフトーク「音楽編」が開催されました!

スタッフトーク「音楽編」では、本作の音楽を担当している菅野祐悟さん、TVシリーズと劇場版第1部のエンディングテーマ「Gの閃光」歌唱担当のハセガワダイスケさん、仲寿和プロデューサーの3名が登壇!今回は『G-レコ』の音楽についてのトークが実施されました。
菅野さんと富野由悠季監督との音楽制作秘話や、ハセガワさんによる即興での「Gの閃光」披露など、大盛り上がりとなりました!

 

まずは、仲プロデューサーからお二人に『G-レコ Ⅲ』を観た感想について語って欲しいという振りからトークがスタート。ハセガワ氏は「僕は今回、号泣しちゃいました。アイーダさんの “これからの時代は年寄りが作るものではないのです”というセリフで滅茶苦茶泣いてしまって。他に印象に残っているのは、劇伴の音が大きいこと。音量感が自分が今まで感じた中でも大きくて。そこにも感動しました」と印象的なセリフと音楽の存在感について語った。
続いて菅野氏は「ベルリとアイーダが姉弟であることがわかってしまった後、テレビシリーズにはなかったベルリが庭園で慟哭するシーン。あのシーンが加わることで、ある意味大人の残酷さやベルリの悲しみみたいなものの感情がすごく伝わってきましたね。その結果、主人公2人の関係性を深く見ることができて、より作品が見やすくなりました」と新作パートの効果について語ってくれた。

その新作シーンでは、今作用に書き下ろしの楽曲が使われていたという仲氏からの説明に続いて「『G-レコ Ⅲ』で新たに制作していただいた楽曲に関して、どんなエピソードがありましたか?」との質問。これに関して菅野氏は「ベルリが泣き叫ぶシーンの曲に関しては、富野監督と何度もやり取りをしました。あのシーンの本当の意味みたいなものを僕自身も掴むのに時間がかかってしまって。やり取りの中で監督の言う真意を掴んでいってようやく書けたのが先ほど劇中で聞いていただいた楽曲です。あの曲に関しては、新曲ということもあって僕自身思い入れが強く、印象に残っていますね」と答えた。
また、もうひとつの新曲に関しては、クライマックスのクレッセント・シップのシーンで使用。この曲に関しては、「最後のたたみ込むようなシーンということで、ちょっと長めの曲として書かせていただきました。今まで使ってきた「Gの閃光」のイメージを崩さず、新鮮に見ていただけるといいなという思いを込めて書いています」という思いを伝えた。

次の質問は「TVシリーズの頃の『G-レコ』への音楽側からの関わり方について教えてください」というもの。ハセガワ氏は「当時、僕は菅野さんのアシスタントとして『G-レコ』の楽曲作りのお手伝いをしていて、曲の中でエレキギターを弾かせてもらっているんです。『G-レコ Ⅲ』の劇中でもその曲はちょっと聞こえてきたので、“やった!”と思いましたね」と振り返る。菅野氏も「TVシリーズはもの凄く過酷だったよね」と振ると、ハセガワさんは「僕は、人生で初めて三日間徹夜しました」と同意。
続けて菅野氏は、「本当に大変な作業でした。関わったどの作品も大切で本気でやっているんですけど、富野監督とのお仕事というのは、ある意味命がけで。富野監督自身がガチンコで、自分の人生をかけてぶつかってくる感じがあるので、僕らの方も“一歩間違えたら死ぬんじゃないのか?”という気持ちでぶつかっていかないと、監督には納得してもらえないようなところがありました。それは音楽のクオリティとかそういうところだけでは無いので、きちんと言葉にするのは難しいんですが、やっぱり本気でぶつかっていかなければ戦えない人だなというところは印象に残っていますね」と富野監督と一緒に仕事をする過酷さや本気度を披露してくれた。

次の話題は、ハセガワ氏が歌を担当している楽曲「Gの閃光」について。ここで、ハセガワ氏が歌を担当することに至るまでの、驚きの事実が明らかに。
「僕はもともとシンガーソングライターとして活動していたんですが、自分の実力的にも年齢的にも歌手になるのは難しいだろうと思って。そこで、偶然菅野さんと出会い、歌手は諦めて音楽作家になろうと弟子入りしたんです。そんな中で、菅野さんから“君、歌を歌えるよね?”という形で、「Gの閃光」のデモテープに仮歌を入れさせていただいたのがきっかけなんです」とハセガワさんが関わった経緯が語られた。
それに対して菅野氏は「当時、彼は完全に無名で。“TVシリーズのEDテーマである「Gの閃光」を誰が歌うか”という話になった時に富野監督が“デモテープの歌はすごく素敵じゃないか。この人でいいんじゃないの?”と言っていただいて、まさかのデビューをすることになって。今まで燻っていて、歌手をあきらめようと僕に弟子入りしたら、まさかの歌手になれたという。そこから今はすごく活躍するようになっていった。だから、人生って何があるかわからないし、新しい可能性が開くこともあるんだなとハセガワ君を見て思いますね」と自分のもとで働いていた仲間の新たな門出の感想を語った。
これを受けてハセガワ氏は「本当に、『G-レコ』と菅野さん、そして富野監督には本当に感謝しています」と感謝。「ハセガワ君は、何に対しても一生懸命やる人なので、そこが歌を通して富野監督に届いたのかなというのと、歌の実力とか才能みたいものを監督が見出してくれて、今のハセガワ君があると思うので。もちろん、才能があっての話なんですが、人生って面白いなと思いますね」と菅野氏が感想を述べた。
この話に、「僕自身、ちょっと泣きそうで」と語った後、ハセガワ氏は持参したギターを手に、即興で「Gの閃光」を披露。
一時期はストリートミュージシャンもやっていたということから、床に座ってアコースティックギターを奏でながら歌うストリートバージョンの「Gの閃光」を高らかに歌い上げる。
歌い終えたハセガワ氏は「今の話の流れで、ここで歌うことができたのは、結構ヤバかったです。お客さんは全員泣いてますよ(笑)。僕は売れてない当時、駅前とかで歌っていたので、それも思い出しましたね」と楽曲をこうして披露したことを感慨深げに語った。
ハセガワ氏の生歌披露による盛り上がりから戻って、トークも後半戦へ。
ここでは、菅野氏と富野監督による楽曲制作におけるやり取りの話題へ。
「『G-レコ』では、50曲くらい、トータルだと70?80曲くらい書いていると思うんですが、まずは監督にデモテープを聴いてもらうんです。一般的な作品の場合は、“6番目の曲はもっとテンポを早くしてもらえますか”とか、“10曲目は悲しい感じを足して欲しい”とか2、3曲のリテイクが来たりする感じで。でも、『G-レコ』の場合はまず監督から直筆のお手紙が来まして。1曲目から順番に感想、というか“思い”が書いてあるんです。基本的に褒めてくださっているんですけど、読んでいくと“もっとこうしたらいい”とかも全部の曲に書いてある(笑)。そうすると、50曲全部にリテイクが来ていることになるんですね(笑)。監督からいただいた手書きの手紙は宝物だなと思いながら、当時は血反吐を吐きながらやったという記憶がありますね。富野監督から、そういった思いのこもった手紙をいただけるということ自体が、作曲家の中でどれだけいるかということを考えたら、本当に貴重な体験で。映像に対して、音楽がどういう風にアプローチしていくかということも、もの凄くたくさん学ばせていただきました」と菅野氏と富野監督の音楽制作における濃密なやり取りの一端が披露された。
続いての話題は、少し前に話題となった、富野監督のインタビュー記事について。そのインタビューで富野監督は、DREAMS COME TRUEと菅野氏が楽曲の扱いを巡って揉めているようなこと、そして菅野氏がその扱いに対して不満を持っているようだと答えていた。果たして、その真実とは……。
菅野氏は、「富野監督が“僕は菅野祐悟に滅茶苦茶嫌われている”と言ってましたが、そんなことはなくて滅茶苦茶大好きです。さらに、ドリカムさんとはまったく揉めていないです(笑)。大好きでお会いしたい歌手ですし、1度もお会いしていないですから。ぜひお会いしたいです。なぜか、僕がドリカムさんに嫉妬心を燃やしているみたいに監督が言っていますが、まったくそんなことはありません(笑)」と否定。

仲プロデューサーからは「インタビューの時に楽曲の話になると、どうしてもそういうコメントが出てきちゃうんですけど、監督としては『G-レコ』の世界観を菅野さんの楽曲で作っていただいた中で、相談もせずに勝手にドリカムさんにお願いしてしまったところで“そんなことをしたらやっぱり怒っているよね”と。つまり嫌われていると監督の中では思っているんでしょうね」と補足が入る。
菅野氏からは「直接何かあったわけでもないですし、監督のことは大好きだとお伝えください」と会場を笑わせた。
ハセガワ氏は「監督は、菅野さんのこと絶対大好きですよね。ドリカムの中村さんのラジオに監督がゲストで出られた時も、菅野さんの名前を何度も出していましたから」とフォロー。

続いて、仲プロデューサーから「『G-レコ』の第4部に期待することは?」という質問が振られた。
「第4部の曲はハセガワ君と一緒に作っているんですが、なかなかOKが出ないんです(笑)」と菅野氏から現状を報告。第4部でボーカル曲を担当するハセガワ氏も「ノドをカラカラになるほどやりきる形で1回レコーディングしたんですが、全部やり直しになりました(笑)」と現在も絶賛産みの苦しみを味わっている状態であることを語った。
菅野氏から「第4部は新作パートが多いと聞きましたが?」と仲プロデューサーに質問すると、「全体の半分くらいが新作パートになるので、これまでとは全然違う感じになると思います」と第4部に関する新たな情報が開示された。

そして、楽しいスタッフトークも終了の時間に。最後は、登壇者からのメッセージで締めくくられた。
「今回は音楽を中心とした話ということで、『G-レコ Ⅲ』から新たに新曲で彩っていただいており、第4部、第5部と新曲を使わせていただく予定となっていますので、そちらの方もこの後楽しみにしていただければと思います」(仲)

「僕は『G-レコ』と出会ってすごく人生が変わって。自分の中で“元気のG”はガンダムの“G”であり、始まりの“G”でもあるので、すごく大切な作品です。なので、第4部で僕が引き続き歌えるかはまだわかりませんが(笑)、ぜひ僕が歌えるよう皆さん応援していただければと思います」(ハセガワ)

「今日、僕とハセガワ君が登壇するということで、お客さんが来なかったら“僕らって人気がないってことがバレちゃうね”という話をしていたんですが、たくさんのお客さんに来ていただいて嬉しいです。これからも第4部、第5部と続きますし、新曲も新規パートもあります。皆さん、最後まで応援よろしくお願いいたします」(菅野)


劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」スタッフトーク音楽編
開催日:2021年8月18日(水)
場所:新宿ピカデリー シアター③
登壇者:菅野祐悟(音楽)、ハセガワダイスケ(TVシリーズ、劇場版第1部 エンディングテーマ)、仲 寿和(プロデューサー)

2021/08/13
撮影監督・脇氏が富野監督との制作秘話を披露!劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』×『閃光のハサウェイ』コラボスタッフトークレポート!

▲左から仲プロデューサー、脇顯太朗氏

絶賛公開中の劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」と『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の、両作品の大ヒットを記念して、昨日8月12日(木)にコラボスタッフトークが開催されました!

スタッフトークには、両作品に携わった仲寿和プロデューサーと撮影監督の脇顯太朗氏が登壇し、『G-レコ』の撮影についてのトークが実施されました。
『閃光のハサウェイ』でのスタッフトークでは、2作品の共通点や制作にあたっての心構えなどについて語られたということもあり、今回は趣向を変えて「メイキング」的な内容としてスタート。脇氏が「宇宙からの遺産」の冒頭に登場する作品タイトルのカットとエンディングの撮影処理の裏側ががわかる静止画資料を用意し、それをスクリーンに投影しながら、仲氏が進行しそれに脇氏が答える形で語っていくスタイルとなりました。

 

まずは、作品の顔とも言える、タイトルカットについて。
完成形のタイトルロゴが出た画像を見せた後に、演出の吉沢俊一氏によるタイトルカットの文字がどのように画面に現れるかというアニメーション指示、さらに、そのアニメーションに対して富野由悠季総監督によって詳細な追加がなされた指示が画面に映し出された。
サブタイトルである「宇宙からの遺産」の文字が発光するタイミングが細かく描かれた富野監督の指示に対し、脇氏は「ここまで細かく描かれたら、このままやるしかないじゃないですか。これを再現すべく、どうしようかなといろいろ考えるわけです」と、作業開始時の心境を語る。
富野監督の指示をスキャンする方法や撮影処理的なエフェクトをデジタルで作るということも可能な中で、最終的に脇氏が選んだ手段は「発光する文字のエフェクトを手で描く」こと。7種類ほどの素材を作って、それが動き、最後は発光する流れを再現したと解説。
脇氏は、「極端なデジタル感が出ると、富野監督は“こういうことでは無い!”と言うので、書き味というかちょっとした揺らぎみたいなものがないと違うと言われると思った」と、自らエフェクトのベースとなる文字を描いた理由を付け加えた。「想定していたアナログ感が出たと思います。イメージ的には80年代後半から90年代中盤くらいのSFの劇場映画の予告編みたいな雰囲気ですね。“昔、こんなのを見たな”と思ってもらえるようにやりました」と仕上がりに対する感想を語ってくれた。
それに続いて仲氏から「脇さんは、本編の方でも文字に限らず、エフェクトを実際に描いて足していますよね」との補足が。脇氏は「デジタルの演算処理で入れるエフェクトは、自分でなくても同じような効果を入れることができるんですよね。だけど、それがなんか嫌で(笑)。もうちょっとオリジナリティを出したいと思うので、自分でエフェクトを描いています。さすがに、そこまでやる人(撮影監督)は他にいないでしょ? 会社で自分の席に液晶タブレットを置いているのは自分だけだし、何かあれば描けばいいと思っています」と撮影に対するクリエイティブなこだわりが、手描きにこだわることであると明かした。
ちなみに、このタイトルカットの仕上がりに対して、富野監督は大いに満足したようで、「その感想を言った時に僕はその場にいなかったんだけど、“その感動を自分に直接伝えて! 監督のその言葉が聞きたい”と思いましたね(笑)」と当時の様子を振り返った。

続いて、「本編中で、他に自分で描いた要素はありますか?」という仲氏からの質問に対し、「『G-レコ』の第1部からいろいろとやっていて、ビームのまわりのブラシを描いたりもしていますね」というやりとりが行われ、そこから、話題は「宇宙からの遺産」に登場した、ビーム・マントをまとったモビルスーツ、ガイトラッシュの表現へ。
「ビーム・マントの撮影処理が凄い」と褒める仲氏に対して、脇氏は「(TVシリーズ時の)あれは完全に若気の至りでやり過ぎた」と振り返る。富野監督からは、「これは光がマントになっているようにしたいから、作画されているマント風のシルエットが気に入らない」と指示が入り、劇場版ではそこにも手を入れたとのこと。
ここで、仲氏から「今日は第4部の打ち合わせを監督とやってきたんですよね?」と振られ、「今日は3時間くらいの打ち合わせをしてきた帰りでもあるので、ちょっと疲れているか、テンションがおかしいかのどちらかですね」と現在の心境を語った。そして、その打ち合わせでエンディングの話題も出たということから、話題は「宇宙からの遺産」のエンディングの撮影処理の解説に移行。
「宇宙からの遺産」のエンディングでは、テレビシリーズのアイキャッチで使われたキャラクターがダンスする姿とその背景がさまざまな色に変化しながら画面下から上に向かって流れる水が写し出される。
脇氏は、この背景となる水の流れの映像を作成している。背景に水の流れが使われることの理由については、「第4部では水中をはじめ、海を連想するようなシーンがたくさん出てくるぞという話もあるし、第3部の終わり方として水の流れみたいなものがあった方がエンディングの曲の導入としていいんじゃないかという話があってそうしたと言っていました」と富野監督の希望があったことを語った。
まずは、エンディングの背景にCGディレクターの藤江智洋氏が10年位前に撮った水の素材をとりあえず配置したところ、富野監督からは「こんな感じでいい。実写の水の素材をいくつも重ねて下から上に流れている感じのものを作ってほしい」との指示が出たそうだ。
ただし、その素材をそのまま使うわけにはいかないということで、脇氏は実際に海に行って波の素材を撮影。絵画調にいくつかの色が欲しいという監督からのオーダーがあったため、加工して背景用の映像を作成した。
しかし、それに対して富野監督からはNGが出たとのこと。「これは、淀んでいるだけだよと。僕が欲しいのは水が流れている映像なんだと。カメラが固定されているのではなく、動いているように見えるイメージが欲しいんだ!」というのがその理由であり、富野監督にその場で怒られ、「デジタルから映像を作っている人が作ると、こういう仕上がりになってしまうことが、今はっきりわかりました」と目の前で言われたのでとてもショックだった……と当時のことを振り返った。
脇氏は、「後ろの動きが速いと、背景にならないなと思ったので、テロップや踊るキャラクターを目立たせるために、背景の動きをゆっくりにした方がいい」と判断したものの、その考え方は間違いだったとわかり、新たに別に勢いよく流れる水の素材を撮影し、それを加工して使ったものが完成映像として採用されることになった。
その後、富野監督とのいくつかのやり取りを経て「そのまま海で撮ってきた水の素材を使うのではなく、自分の目で海や川の流れなどの自然の雰囲気を観察したうえで、これをアニメでそれっぽくするにはどうしたらいいのかという部分が抜けていたのではないか? ということで富野監督に怒られたと思うんですよね。そこは今でも反省しています。あのエンディングがきちんと成り立っているのは、色の乗せ方やテロップの流れ方も含めた演出の効果が強くて、まさに富野マジックによるものだと思います」という結論に達したと語った。
これに対し、プロデューサーという立場でその場に関わった仲氏は、「最初のフワっとしたオーダーから、各セクションの人がすごく知恵を出して、見せて、監督の確認を取って、みんなで作り上げていくという感じはすごくいいなと思いましたね。最近、映像作家と演出家というのは別の能力なんだということを考えることがあって。富野監督は演出家で、自分では画を描くことはできないし、CGを使うことはできないけど、それを他のセクションのスタッフに自分のやりたいことや思いを伝えて、CGや編集、撮影さんなどの力と技術を集めて作ったものを、再度、監督が演出して完成に至るのはやっぱりすごいなという感じがありますね」と集合知によって作品が完成していくことへの感想と感慨を述べた。

そして、話題は富野監督との現場でのやり取りへ。「富野監督は、わりと物事に対して、“これはダメだ!”と僕が作った映像に対しても言ってくれるし、よく出来た場合は“これはいい!”と言ってくれるんですよね。また、あまり神経質になって作業をやるなと言われますね」と脇氏が自分に対しての富野監督の言葉を振り返る。仲氏も「“細かいことを緻密に作りました”というよりも、大きくしっかり見せることを重視していますよね。リテイクが出た時も、ちょっとだけ調整した程度だと“何も変わってないじゃないか”と言われますからね」と、富野監督との仕事をしていく中でのポイントを語ってくれた。
その他にも、富野監督に初めて怒られたこと、昔はスタッフに対して凄く怒り、今にも殴りかかりそうなほどだったのが、最近はそうした雰囲気も少なくなったなど、富野監督との貴重なエピソードを笑いを交えて披露。現場での富野監督とのやり取りの濃密さや雰囲気を知ることができる内容となった。

そして、スタッフトークも終了の時間に。
脇氏からは「前の『閃光のハサウェイ』のスタッフトークの時には富野監督はニュータイプじゃないかという話をしたんですが、個人的には富野監督がというよりは、今、劇場にわざわざ『G-レコ』を観に来ていただいている人たちがニュータイプの素質があると思います。これは理屈があって説明ができるんですが、それはしません(笑)。でも、こうして観に来てくれた方々が、今後のアニメーションの世界を左右する可能性を持っているので大事にしていければと思っています。第4部も今まさに作業中ですので、続編を待っていただければと思います。」というメッセージが伝えられた。

仲氏は「作品の感想を見ていても、すごく細かいところまで観てくれているし、こちらが聞きたいところをしっかり語ってくれて嬉しいです。だから、皆さんは作品を観る力がすごく高いなと改めて思いましたね」と語った。
「こうして観に来てくれることに、我々は支えられていますし、これからも『Gのレコンギスタ』と富野由悠季をよろしくお願いいたします」と脇氏の言葉で締めくくられ、スタッフトークは終了となった。


劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」×『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』コラボスタッフトーク
開催日:2021年8月12日(水)
場所:新宿ピカデリー シアター③
登壇者:脇顯太朗(撮影監督)、仲寿和(プロデューサー)